Dance to Death:死に舞 on the Line

Music and Game AND FUCKIN' ARRRRRRRRT 今井晋 aka. 死に舞(@shinimai)のはてなブログ。

Bandcampで日本のkawaii音楽シーン特集が掲載!冒頭の紹介部分を翻訳したよ

kawaiiってなんだ!って思うかたもいますが、ここ数年日本のインターネット界隈では定着したジャンル?なんだけど、Bandcampが特集してくれたよ。UjicoやYunomiのインタビューをしているみたいで、思った以上、本格的な特集だった。

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はてなブックマークでも結構話題になったから以下、冒頭部をサッと訳してみた。意味は取れていると思うが、サッとだからアテにしないように。いろいろと興味深い引用や発言があって、面白かったよ。

 

「かわいい(kawaii)」ほど広く解釈される日本語の概念はないだろう。この言葉はしばしば――概ね“cute”として翻訳されるが、より専門的には「子供っぽい」もしくは露骨に見下した愛らしさを意味する――アニメから洋服まで様々な日本文化の輸出においてつきまとってきた。2020年の東京オリンピックのマスコットが最近公開されたのを見てみると、そこでは抱きしめたくなるような生き物を生み出すに長けたこの国において盛んな議論がなされていた。“ka-why-ee”と発音される形容詞は日本のファッションからコラボカフェまであらゆるところに展開されてきたし、それは多くの人にとっての従うべきライフスタイルなのだ。例えば、ぬいぐるみのセットを形容する“punk”といった概念として考えて見れば良いだろう。

 

当然のこととしてkawaiiは音楽にも拡大される。西欧に進出することを目指す日本のアーティストたちはしばしば、その言葉を自らにラベリングする。例えば、きゃりーぱみゅぱみゅのような原宿生まれの爆弾から、ベビーメタルのようなキュート・ミーツ・ヘヴィメタルなサウンドまで。より小規模なアーティストもまた、ベルや木琴のようなキラキラした音と忙しいフューチャーベースをミックスしたサウンドによって、そのようなタグワードを得ようとしている。インターネットの一角では、それらの新しい種類のポップミュージックを “kawaii bass”と分類するに至っている。

 

「僕は僕自身の世界観を持っている。みんなは僕のキャラクターを絵で描いて、送ってくれるんだ」と、新宿のカフェでUjicoとして知られる氏家慶太郎は話してくれた。彼はSnail’s Houseとして知られるプロジェクトで使用するアートワークやビデオに登場するカタツムリのようなキャラクターを言っているのだ。このスタイルを前面に出すことで、彼がインターネットにアップロードしたすべてのアルバムとEPは瞬く間に売れ、数千人のファンを魅了した。YunomiやYUC’eといったアーティストと同様に、Snail’s Houseは“kawaii music”の格好の事例だ。

 

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急成長しつつあるこのような“cute”な音楽を作る日本のアーティストたちだが、それでもまだ容易に定義付けられない。甘ったるいサウンドが現れる一方で、ヘヴィなノイズもしばしば登場する。EDMに影響を受けた重いベースラインや刺すようなシンセ音、そして高速ビート。彼らの創作物は概ねアグレッシブと言って良いものだ。氏家は自身のTumblrのフィードでkawaiiイメージを漁るのに忙しい一方、彼が興味を持っている音楽はブレイクコアフュージョンドラムンベースなのだ。

 

「Snail’s HouseはUjico名義以外でキュートな音楽を作るための場所だと思っている。」いかにクリエイティブに行き詰まらないようにやっていくかを説明する際に、彼は言う。より遊び場に向いたサウンドを楽しむ一方で、彼は音楽的に非常に雑食であることは明らかだ。インタビューの最中、最近のお気に入りの音源をスマートフォンで聞かせてくれた。それは歪んで慌ただしいEDMのトラックで、Snail’s Houseのようなリラックスしたスタイルとはかけ離れたものだった。よりハードなプロジェクトのために多くの別名義があることも教えてくれた。

 

kawaiiは日本以外の国ではしばしば誤解される概念だ。多くの人は単純にそれをサンリオや雑誌の『FRUIT』と同一視するが、より複雑な歴史を持っている。1970年代に登場したその言葉は、シャロンキンセラがエッセイ“Cuties In Japan”でティーンネイジャーの間の“cute handwriting craze(可愛い手書き文字の流行)”と記述されたものによって目を引くことになった。それは実際に厳密な書き言葉のルールからのちょっとした逸脱であったのだ。kawaiiがより日本のキュートネスのステレオタイプになっているとすれば、世界中に輸出されるそのタグが付けられたものは――特に音楽は――そのひねりを隠蔽する。実際にきゃりーぱみゅぱみゅの音楽とビデオはkawaiiに対するグロテスクな解釈を想像させる。他方、ベビーメタルの名は体を表す。氏家が指摘した

TomgggAvec Avecといった日本のパイオニアでさえも、コットンキャンディーのような甘い音楽の中に異質なものを忍ばせていたのだ。

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「海外でしばしば‘kawaii’とタグ付けされている音楽を聞くとき、聞くのが苦痛だと感じることがある。というのも、それらは‘kawaii’であろうということにあまりにも意識的であるからだ」と、Aiobahnとして活躍するKim Min-Hyukは言う。彼はソウルと東京というふたつの故郷を行ったり来たりして暮らしてきたが、彼の母国よりも日本のコミュニティによりフォーカスしてきた。彼の音楽もまたkawaiiと呼ばれてきたが、彼自身はそれに同意していない。というのも、日本語ボーカルとアニメスタイルのアートワークを使うことによって、そのタグ付けが安易に適用されていると彼は考えるからだ。

 

「理由のひとつはアニメカルチャーにあるだろう」と、この種の音楽への最近の関心の高まりに関して、プロデューサーのYunomiは言う。日本のアニメに愛を抱く世界の多くの人々がますます増えている現在。日本のアニメ的イメージはミュージシャンを表すための容易な視覚的なスタンプとなった。そして、日本からインスピレーションを得たジャンルで活躍するアーティストは尽きることはない。私は“kawaii sounds”とタグ付けされるもうひとりのアーティスト、Cute Girls Doing Cute Thingsとも話した。「美的な理由のためだけで」東京に在住していると言い張るアーティストだ。彼らは実際にはヨーロッパ出身である。私は彼らだけがこの種の策略を続けているとは思っていない。「彼らはファンタジーを感じることができる音楽が好きなんだ」と、Yunomiは言う。

 

結局、この世代の日本のkawaii音楽の作り手は、新しいサウンドを加えるアーティストとして考えるのがベターだろう。それはしばしば、ハードエッジなものであり、他方でソフトなものとして見られるスタイルを持つ。以下は日本の “cute”な音楽に新しい意味を与えるアーティストである。

 

 個人的にはUjicoとYUC’eは国民栄誉賞上げてもいいくらい素晴らしいよ。もっと注目しようぜ。