Dance to Death:死に舞 on the Line

Music and Game AND FUCKIN' ARRRRRRRRT 今井晋 aka. 死に舞(@shinimai)のはてなブログ。

Monika@DDLCはハルヒ説

遅かれながらDoki Doki Literature Clubをプレイした。大方の予想通り、日本のノベルゲームシーンの中ではそれほど珍しくもないジャンプスケアやメタ展開を利用しながらも、かなりコンセプチュアルにうまくまとまった作品であった。それ自体としてはそこまで評価できる作品だと思えないけど、やはりこういう作品が海外から登場してきたことに関しては興味を抱かざるをえない。日本のノベルゲームの歴史を一気に追いついている印象だ。

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まあ前半の日常パートやキャラクター描写のいい加減さなど、駄目なところも目立つ。だけどある種のmemeとして盛り上がっているMonikaの魅了に関しては全面的に支持したいと思う。彼女は神だ。文字通り。

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ただこの彼女の設定自体も既視感があったのは否めない。端的に思うのは涼宮ハルヒからの影響だろう。思いっきしネタバレになるが、Monikaの全知全能ですべてを書き換える能力はハルヒそのものだし、いわゆるJust Monikaな場面の表情やポニーテールといった髪型もおそらく意識して作られたものだろう。そもそも文芸部というなんだかよくわからない部活をやっている意味でもSOS団に似ている。ただ最終的に彼女の全知全能は完全なものでもなく、最後には作者自ら登場するあたりはなんだか徹底していない感じもある。

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ともあれ、このMonika=ハルヒ説はやはり海外のファンの中でも少し話題になっている。ただそれほど言及されないのは、本作がハルヒなどよりも若い層に受けているせいかなと思っている。いずれにせよ、『涼宮ハルヒの憂鬱』における全知全能のハルヒという存在、そして結局オチが提示されないまま終わっている佐々木さんみたいな存在が好きな人はこのゲームをして損はないだろう。特にJust Monikaな場面で淡々と独白されるセリフはどちらかと言えば、佐々木さんだ。

あと海外のビジュアルノベルにありがちな日本のオタク文化への覚めた目線は強く感じた。ある意味では嫌味な作品にも感じるのが、おそらく作者がこれを作った背景には海外の日本オタク(weeb)に見られる煽りネタ“Your waifu is...”があると思う。これはいわゆる二次元嫁に対して「存在しないよ」「現実じゃないよ」とか言って煽るやつなんだけど、日本人のオタクにとっては何が煽りかわからない不思議なネタである。

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おそらく、二次元のキャラクターに対する当然な愛着を感じている日本人と違って、西洋のオタクにとってはこのような感情は違和感があるのだろうと思っているんだけど、それ自体を楽しむ態度みたいなのがDoki Doki Literature Clubにも現れていると思える。その意味でここまでわかりやすいメタネタをこのタイミングで出してくるのはなんとなくわかる。まあそれが結局、逆輸入される形で日本でも人気になっているのもなんだか不思議な状況だ。本作を通して、ビジュアルノベルがさらに普及している感じはするし、今後も様々なタイプの作品がかなりの速度で登場することは間違いないだろう。そのような英語圏ビジュアルノベルシーンに対して日本のクリエイターはどう取り組んでいけばいいのか、そろそろ本気で考える時期に来ている気がした。

 

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二次創作ゲーム?Monik After Storyの告知用画像。このWaifuとのAlone Xmasネタも何故か西洋人は大好きだ