Dance to Death:死に舞 on the Line

Music and Game AND FUCKIN' ARRRRRRRRT 今井晋 aka. 死に舞(@shinimai)のはてなブログ。

Bandcampの日本のkawaii音楽シーン特集翻訳:アーティスト紹介① Snail's House、Yunomi、YUC'e

 前回、冒頭のイントロダクションを翻訳したところ、結構な数のアクセスがあったから、個別アーティストの紹介も翻訳しようと思う。と思って、やったところ結構なボリュームがあり、なかなかこのライターさん良く聴き込んで日本の音楽シーンも深くしっており、時間がかかりました。とりあえずはKawaiiシーンで一番重要な最初の3アーティスト、Snail's House、Yunomi、YUC'eの方を訳したので以下で公開します。

元記事はこちら

daily.bandcamp.com

 Snail’s House

ショパンやスライ&ザ・ファミリー・ストーンが別け隔てなく流れるような音楽一家で育った氏家は、家をよく空ける父親から様々な楽器を譲り受けたそうだ。「だけど、僕はそれらを演奏することはなかった」と彼は言う。「2011年、上原ひろみを聞くまでは、自身の音楽を作ることを試さなかったんだ。」彼は自由時間に音楽室を利用させてくれた高校の先生と、ニンテンドーDSの音楽制作ソフトに助けられながら、試行錯誤で音楽制作を行っていった。そしてニュージーランドに留学しているときは、父親から送られたラップトップを使用して楽曲を作り始めた。「そのPCは壊れていたんだ。だから父はその後、6年使用したPCを送ることになった。」

 

時代遅れのテクノロジーは氏家に速く制作する手段を教えてくれた。というのも、彼のコンピュータは2時間程度でオーバーヒートしてしまうからだ。「頭に浮かんだものをすぐにアウトプットすることができるよ。音楽を生み出すとき、例えば……このメロディにしよう、OKっていう感じで。」最新のSnail’s Houseの作品Ordinary Songs 4では、歪んだドラムといった特定の要素を引き伸ばすことを追求している。「My Holidayは最も長くしている。キックの音は実際にはベースとして機能しているんだ。めちゃくちゃに圧縮したよ。ミックスするのにとても手を焼いた。」

 

「Ordinary Songs 4では、いかにキュートな楽曲をぜんぜんキュートじゃないサウンドで描くかを追求したかったんだ」と彼は言う。歪んだドラムや「アーメンブレイク」をいかに使ったかについて彼が話すのを聞くと、一見してkawaii音楽がいかにドッキリさせるような効果を持つのかが明らかになる。「まず歪んだサウンドを作るところから始めた。普通の人ならビビっちゃうようなやつをね。そして、自らの耳を痛めつけるような音、もしくはジャングルのリズムのようなそれ自体はキュートではないサウンドをキュートなものにした。」

 Yunomi

Yunomiの過剰なサウンドを形付けるために、J-popは重要な役割を持っていた。「 PerfumeCapsuleなどの中田ヤスタカさんの音楽に影響を受けました。もちろん、SkrillexのようなEDMブームのアーティストもそうですが」と彼は話す。彼がそれらのアーティストを発見するのと同時に、Yunomiは最初期の創作物のいくつかに陽気な歌を添える気鋭のパフォーマーであるNicamoqに出会った。日本の伝統楽器とフューチャーベースをミックスしたアイドルプロジェクトBPM15Qのサウンドを作り上げることで、彼はそれらの影響に返答したのであった。

 

「端的に言って、それらが鳴らすサウンドが好きなんです」と彼は日本の伝統楽器について語る。「やっぱり僕は日本の伝統を評価したい。もしkawaiiについて考えるとしたら、やっぱり『日本って何だろう?』と考えるじゃないのかな。だから日本の要素を付け加えた。」Oedo Controllerのようなハードなナンバーでは、三味線のパッセージからいきなり拳を突き上げるようなタイムストレッチサンプルが始まることで、その特徴を加えている。

 

アイドルグループのCY8ERのメインプロデューサーをつとめることを含め、Yunomiはエネギッシュなセットを日本中でプレイし、J-pop産業においてより多くの仕事を見つけることで、昨年はより有名な存在になった。さらに彼はMiraicha Records(文字通り「未来のお茶レコード」) という新しいレーベルを共同設立し、よりキュートな要素と共にダンスよりのサウンドを際立たせた。だが彼は決定的に少しラフなサウンドを好む。「僕たちはコンピュータで完璧なインストゥルメンタルトラックを作ることができる。だから逆のことに魅力を感じるし、それを試してみたいんだ。これは僕のライフワークだね。」

YUC’e
YUC'e

YUC’eはYunomiと共にMiraicha Recordsの共同設立者である。彼女はフューチャーベースサウンドにフォーカスしたできたてのレーベルにより予測不可能なスタイルをもたらしている。東京を拠点としながら、2016年にリリースされたFuture Candyによって彼女は国内外の注目を集めることになった。この楽曲は現代的なkawaiiサウンドの決定的な事例であろう。そのアートワークと歌詞は甘いお菓子を礼賛しており、楽曲はヒラヒラとしたシンセ音とYUC'e自身のハイピッチな歌によって幕を開ける。そしてその2、3秒後、楽曲はピッチが上げられたボーカルサンプルと踊る気満々のベースで引き裂かれる。楽曲の終わりでYUC’eの狂気じみたボーカルが畳み掛ける、その激しさは絶頂を迎える。

 

この骨折しそうなほど激しいアプローチは、彼女のフルデビュー作Future Cakeのすべてのトラックに満ちている。さらにデジタルエイジのスウィングである“Night Club Junkie”やゆらゆら揺れるダンス・ポップの“Tick Tock”といった楽曲で、彼女はさらに意表を突いたアプローチを行っている。十分に聴き込めば、Future Cakeは日本のシブヤ系時代の楽曲をインターネット世代へとアップデートしているように聞こえ始める。しかしながら、彼女がどの方向性を選ぼうとも、YUC'eは「キュート」なサウンドという伝統的なアイデアを切り刻み、よりハードエッジで常に変わっていくものへと再編集しているのだ。

Ujicoとかのインタビューはブログレベルでもあったと思うけど、こうして世界に紹介されるのはなかなか素晴らしいね。でもまだまだ日本でのリスナーは足りてないと思うんだ。個人的にはやっぱYUC'eの最初のアルバムすげーわって再認識しました。 「Future Cakeは日本のシブヤ系時代の楽曲をインターネット世代へとアップデートしている」っていうまさに!なボトムラインはしびれるね。