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Dance to Death:死に舞 on the Line

Music and Game AND FUCKIN' ARRRRRRRRT 今井晋 aka. 死に舞(@shinimai)のはてなブログ。

眠りによって全てが終わる:深夜アニメの音楽ノスタルジア

あまり健全な状態の精神ではなく、こういう時は限りなく鬱な音楽を聞きたくはなる。それも90年代末から00年代にあったいわゆる「深夜アニメ」のサウンドトラックを。もちろん現在も深夜アニメっていうかアニメは深夜に主にやっているわけだけど、個人的にこの時代のものがTHE深夜アニメだと私は信じている。エヴァのヒット以降、アニメの表現幅が広がったなんでもありの雰囲気。表現幅といっても、今のアニメみたいなリアルな背景とか3Dモデリングとかじゃなくて、リミテッドの中でいかに実験するかみたいな感じだけど。

と、Twitterでベストアニメサウンドトラックを考えてたら、結局そういう深夜アニメになったという話。順に追ってみよう。

 serial experiments lain

アニメの音楽といってOPやEDばかり話に上がるのは嫌だ。もちろんlainはOPも素晴らしいが、この奇っ怪なというか正直後味の悪い劇伴はどんなワンシーンよりもlainらしさ出ていると思う。

仲井戸麗市が手がけたことで知られるこのOSTは、ギターサウンドを貴重としながらもまさに深夜アニメとしか言いようがないわけのわからん不気味さを持っている。アンビエントからジャズ/フュージョン、ブルースまでごった煮ながらも統一感がある。

Boogiepop Phantom

個人的にlainの精神的続編と考えているブギーポップのアニメ版。その映像の暗さは異常なもので、lainよりもカルト的な雰囲気がある。OSTは当時、まだアンダーグラウンドだった日本のテクノシーンの素晴らしいドキュメンタリーだ。電気グルーヴとかそういうのじゃなくて、こういうメンツでアニメのOSTが成立していることは奇跡のようだ。

紹介するトラックはなんとレイ・ハラカミのもの。そしてアニメのサントラであってもレイ・ハラカミは当時からレイ・ハラカミだったんだなと思わせる。このOSTには実際に劇伴では使われていないトラックも多いのだが、このレイ・ハラカミのPoneはしっかりと重要なシーンで印象的に使われている。ぼんやりとした雰囲気から心洗われる流れはまさにブギーポップの雰囲気をうまく伝えている。

Gungrave

00年代はまだまだメディアミックスという言葉がよく使われてた。今では別に珍しくともなんともないんだけど。ガングレイヴはもともとゲームの企画として始まったものが、アニメも平行して作られたものだ。内藤泰弘のキャラデザということもあって良い意味のB級感満載のアメコミ風ゲームになっているが、アニメの方は脚本家と監督の都留稔幸が非常に良い仕事をした結果、ファンタジー風男たちの挽歌のような内容になっている。要するにマフィアたちの裏切りと友情の話だ。

サントラは菊地成孔の先輩にあたり、菅野よう子のバンマスなどもやっている今堀恒雄だ。今堀といえば同じく内藤泰弘トライガンのOPも有名だが、個人的にはこのガングレイヴのOPの方が好きだ。だってこれなんていうジャンル?当時、エッジの効いた深夜アニメではインストをOPに当てることも珍しくなかったが、ここまでアヴァンギャルドなのは聞いたことがない。チェンバー・ロックなのかスムース・ジャズなのか、なんとも言えないんだけど、マフィアものの回想シーンのようなものといえばなんとなく納得の行くような感じがするのである。

 Gunslinger Girl

本編アップロードされているのを貼るのは少しためらいがあるが、これOSTで確認できなかった。(OSTもまあ持ってないんだけど)。なんにせよ、一見してオタクの慰みものとして語られがちな本作だが、少なくとも最初のアニメは非常にしっかりとした演出がなされていた。この場面、追走するシーンにビブラフォンをフィーチャーしたアップテンポのジャズを使うセンスは、最初に見た時からはっきりと覚えている。トリエラの大人っぽさともよくマッチしているし、トレンチコートもかっこいい。

音楽は芸大出身の佐橋俊彦という人がやっている。いかにも職業的な劇伴音楽作曲家という感じで、他の楽曲もかなりの安定感がある。同じく佐橋が作曲したEDの「DOPO IL SOGNO 〜夢のあとに〜 」も曲はガブリエル・フォーレの歌曲「夢のあとに」をもとにしたという大胆なものだ。シリアスな(少なくとも一期は...)雰囲気とヨーロッパの情緒感がちゃんと音楽にも現れている。アニメとしてはだが。

TEXHNOLYZE

ここでTEXHNOLYZEですよ。まじでこのアニメこの時期の実験的なアニメの中でもドを超えていた。サイバーパンク残酷任侠ディストピアSF?「もうそんなことはどうでもいい、僕は彼らを啓蒙したい」「駄目だ、もっと向上しようよ」そういう吉井さんのわけのわからんセリフがこのアニメを物が語っている。決して楽しいアニメではないが見る価値がある変態的作品だ。

音楽も輪をかけてやりたい放題。音楽は浦田恵司、溝口肇が関わっている。二人とも職業アニメ作曲家っぽさあるけど、彼等の音楽のやりたいことを全部あらいざらい出した感じ。ブルースありダブありギターノイズあり、本当になんだかよくわからん。しかも二枚組のアルバム。一枚は吉井さんがフィーチャー(吉井さんはこのアニメのある意味、男の中の男たるものだ)。

ただこのサントラ、どこでなっているかあんまり記憶ないねw

Noir

梶浦由記は好きだけど、まあいつも一緒ていうかフリジアンを貴重としたエスニックサウンドに80年代的なテクノ混ざっているねんと思う。実際、そういった雰囲気は最初の.hackのOPでは極めて良く発揮されていて、まるで前衛ダンスのような振付ですごいわけのわからん音楽がなるわけよ。そのほかヤンマーニとか名曲珍曲が多いのですが、やっぱNoirをもってきてしまう。これ単体で聞いたらいつ聞くのっていう雰囲気であるだけど、あの世界ではこの音楽がなっていることが納得できるわけ。だって1000年ものあいだキリスト教を信じつつ、暗黒世界でアサシンがいたわけだよ。そりゃ荘厳でカオティックな音楽さ。アサシンクリードもそのうちノワールをテーマにすればよい。

ともあれこの時代の梶浦×真下耕一は個人的にはすごいんだけどな。リミテッドアニメのすえに映画的な演出にたどりついた。雰囲気のある背景に間の多い会話。今のアニメにはない要素ですわ。 

ナジカ電撃作戦

ここに来て落としに来たかと思われそうだけど、このアニメも音楽も好きだよww バカバカしいまでのパンツアニメだけどちゃんとジェームス・ボンドをやろうとしてる雰囲気だけ(だけは)伝わってくる。結果としてこのオケであるww 曲だけ聞くと結構かっこいいスパイ風ビッグバンドジャズなんだけど、ホーンがところどころで音ズレる。なかなかすごい、近所のブラバンの同窓生が集まって吹いた感じ。でもそれでもやりたいことがわかる。スパイ映画、スパイ音楽がやりたいと。アニメだってやりたいことがわかる。スパイ映画でパンツが見たい。素晴らしい。そこにこころ打たれる。

OPがこの出来で、基本的にすべてこの出来です。これある意味、世紀の珍盤的なものだとおもうので、ヒンデミットの研究とかしている人は買った方がいいと思うよ。