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Dance to Death:死に舞 on the Line

Music and Game AND FUCKIN' ARRRRRRRRT 今井晋 aka. 死に舞(@shinimai)のはてなブログ。

Frame and Canvas / Braid

 今や「Braid」と言えば、ひょっとするとゲームの方が有名になったかもしれいない。もちろんインディーゲーム好きの私にとってジョナサン・ブロウの歴史的傑作ゲーム『Braid』が有名であることはうれしいことだが、同じ名前で歴史的なバンドがいたことは日本人には忘れないで欲しい。

ジャンルで言えばポスト・ハードコア/エモに属する彼ら。90年代後半は国内にも「エモ」というジャンルが浸透しつつあったため、Cap'n Jazzや彼らのような初期エモのバンドはあんまり紹介されていなかったように思える。今から振り返っていれば、それらのバンドは「クラシックエモ」とでも言うべき存在で、現在のエモシーンやロックの文法を作り上げたことは間違いない。

Braidイリノイ州出身のバンド。イリノイ州のローカルシーンについてはあまり知らないが、シカゴは音楽都市であることは間違いない。とはいえ、同時代に音響派ポストロックとくくられたトータスなどのシカゴシーンで彼らの名前に触れられることはなかったように思えるので、活動した場所が違うのだろうか。

本作は3枚目に当たるアルバムだが、おそらくいちばん聴きやすく出来も素晴らしい。1曲目からフック部分のタメたテンポのギターリフ、ブレイク時のシャウトなどエモ的意匠がこれもでかと出てくる。そしてオフマイク気味のツインボーカルなどが入る辺りも極めてエモい。

ギターソロはほとんどなく、全編を通してツインギターのリフと複雑なベースラインで対位法的に楽曲を構成するのもエモの特徴だ。日本ではやはりCowpersに代表される楽曲構成。ただしBraidはボーカルやギターの音作りが全体的にドライな印象でいかにもアメリカのバンド。それでいて、泣き気味のシャウトとセンチメンタルなアルペジオがロマンチシズムを彩る(6/8のリズムで演奏される3曲目など)。

シングルカットされた「First Day Back」の楽曲構成も見事そのもの。アメリカのロックに珍しいボーカルから入るイントロ、ソロギターのインタリュード、スローなブレイク、ミュートと開放を交互に繰り返す独白的なブリッジパート。

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in the middle of a stage

there's a girl and a guitar

but there's your car

have we forgotten who we are?

we haven't seen anything

so i'm told that chicago's cold

can't be cool as california

for the first time ever

i feel severed yet smooth removed

if you approve then check it out

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日常を歌うエモの歌詞は深い意味はあまりない分、個別の単語が頭に残る。例えば、パートの「there's a girl and a guitar」の「ギタァ」は引き伸ばされた発声でエモーショナル。他にも「so i'm told that chicago's cold」の「シカゴズコォルド」などは土地の名前をはっきりと印象付ける。さらに終盤の「devine」というフレーズの連続。フラストレーションとコンプリケーションで始まる歌詞のイメージを明るいものとして描くあたり、同時代の破滅的グランジとは違った趣で感動的だ。

この他にも聞き所はたくさんある。これらのエモ的意匠は現代の日本のロックバンドにも引き継がれているので、若い人にもぜひとも聞いてほしいバンドだ。

Braidについて調べていたら昔の友人が書いた過去のレビューを発見した。懐かしい。

http://www.geocities.jp/bluesforbluemonk/reviewemo.html