Dance to Death:死に舞 on the Line

Music and Game AND FUCKIN' ARRRRRRRRT 今井晋 aka. 死に舞(@shinimai)のはてなブログ。

■Ascension / Glenn Branca

ずっと知ってた名盤だけど安かったから買った。

Ascension
Glenn Branca
B00009EIPG

別に2012年だからじゃないんだからねっ!っていう感じのコルトレーンの悪名高いアルバムと同名のこれ。

グレン・ブランカはノーウェーブ時代のNYにいた実験音楽作家だが基本的にロックといって問題ない。普通のロックと違うところはギターが多い。ドラムとベースがひとりずつでギターが四人。しかも、こいつら基本的にまったく同じフレーズをユニゾンで演奏する。結果として倍音が強調されて爆音で聞くといろんな音がして楽しい。爆音専用だ。

ギタリストとして参加しているソニックユースのリー・ラナルドがライナーノーツを書いていて、NYの当時のシーンなどについて知れて楽しい。ちなみにレコーディングはなんとNYのパワーステーションだ。ただしリーが曰く、このアルバムは当時風のロック・レコーディング流でオンマイクにしすぎているため、アンビエンスや一番美味しい倍音部分が薄まっているということ。たしかにライブで聞くとまた違う感じなんだろうな、ギター四人って。

でもギター四人は倍音狂いのグレン・ブランカにとってはまだまだ少ない方。こんな「オーケストラ」もある。 

 全員、ほぼギター(笑)。相当にマヌケに見える。音はほとんどホワイトノイズ的に不協和の倍音が響きまくりだ。ただ最後の最後、音が鳴り止むあたりは本当に虹色の音色が出て綺麗。生で聞くともっとカラフルなんだろうな。

ちなみに今訳しているこの本の第4章はロックとボリュームについての話だ。グレイシック教授によれば、音の大きさは程度の問題では決してなく、それは音の質自体に決定的に影響するのだ。つまり結局のところ爆音できかなきゃ分からない音楽があるのだ。爆音はときおりノイズとして扱われるがこの意味での爆音はロックにおいて本質的な要素であり、だからこそ本のタイトルになっているのだろう。

 

Rhythm and Noise: An Aesthetics of Rock
Theodore Gracyk
0822317435