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Dance to Death:死に舞 on the Line

Music and Game AND FUCKIN' ARRRRRRRRT 今井晋 aka. 死に舞(@shinimai)のはてなブログ。

現代のタイの音楽がおもしろすぎだった

バンコクに旅行してきたのだが、すごく美味しくて安いイサーン料理の食堂でかかっていた音楽に惹かれた。それは歌謡曲のような節回しでいて、ラップのようなフレーズがあり、なぜかバックバンドはスカのような不思議な音楽だった。たまにシンセのフレーズが入ったりするのも面白い。Twitterで適当に聞いてみたところ、すぐに「ルクトゥーンかモーラムではないか」と指摘が入った。

前提としてルクトゥーンというのはタイの歌謡曲に当たる音楽ジャンルにようで、要するに戦後のロック・ポップスに影響うけたタイ国産音楽のようだ。対してモーラムはタイの東北地方(イサーン)の伝統音楽だが、その後、ルクトゥーンからの影響をうけて独自に進化していったようだ。

上の動画がおそらく伝統的なモーラム。ケーンと呼ばれる笛と打楽器で比較的アップテンポの音楽だ。どうも伝統的なモーラム自体にラップのようなフレーズが入っているらしく、たしかに歌もどこかリズミカル。

これらのモーラムがルクトゥーンの影響下でエレキギター、ベース、シンセサイザーなど加わり、いつしか独自な歌謡曲のような音楽になった。さらにもともとなのか、西洋の影響を受けたのかわからないが、リズムが明白にスカのようなツービートになった。これが面白い。メロディは歌謡曲のようなマイナー調でそこに軽いギターやシンセがのりつつ、スカのビートがなる。さらにブラスあたりの入れ方はファンクっぽい。ボーカルはラップのような雰囲気の男声と歌謡曲のような女性が交互に入り、ライブセットであるからか全体としてはかなり長い。この辺りもフェラ・クティのアフロビートみたい。

これなんかもローカルなバンドみたいけど、シンセのパーカッシブなフレーズのせいで怪しいニューウェーブバンドみたいな雰囲気がある。実際に最近のバンドになると、モラーンをやっているのかどうかはよくわからないが、明白にスカを押し出すのがかなり見つかるのである。

Bie The Skaという名前もそのままなバンド(?)タイ語が読めないからまったく情報が漁れないが、歌謡曲っぽいメロとリフをうまくスカにまとめており、PVもかなり楽しい。どうもタイは女性に憧れるダメな男性という構図がドラマやPVでも多く、これもそれを踏襲している。

こちらもモーラムなのかわからないが、明白にスカのリズムにラップのようなボーカル。フック部分にはダブステップっぽいリフ(ベースが弱いがw)の上でラップ。PVの内容はコミカルな感じだが、どうも出稼ぎ労働者っぽいネタが頻出している。良い感じに下品な音楽に仕上がっていて大変楽しい。

イサーンという地域は上の動画のように自然あふれる素晴らしい土地らしいが、タイにおける貧困地域であるらしく、バンコクにはイサーンからの出稼ぎがたくさんいるらしい。そういうこともあってモラーンはイサーン人の郷愁、哀愁、そして抵抗を意味する重要なものらしい。出自もあってヒップホップ的な側面を感じる。

すごくたまたま「爆音映画祭2016 特集タイ|イサーン」というイベントでイサーンのことを扱った『バンコクナイツ』という映画を上映するようだ。なんというか素晴らしいタイミング。いろいろわからないことがあるので、もっと知りたいところである。